感想:Web版セブンス
Overview
書籍化済みの作品。小説家になろうに掲載されたWeb版との差別化として、書籍版は初期からヒロインが一人追加されている。同作者の書籍化済み別作品は「ドラグーン」「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「俺は星間国家の悪徳領主!」などがあり、「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」はコミカライズもされている。 本作品の文量は恐らく同作者の作品のなかで最も多いものの、かなり初期に投稿された小説で内容は荒削り感がある。本作品の小説巻数は多いが、本作よりも後発の「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「俺は星間国家の悪徳領主!」を先に読んで気に入ったら手を出すのがオススメ。
この作者は、冷静・普通に考えたらおかしいだろ…といった、ぶっ飛んだ設定や突拍子もない展開を繰り広げるのが得意だ。コミカルに完全に振り切った作風の「俺は星間国家の悪徳領主!」は怒涛の勢いで冷静に考える暇を与えないため、魅力的なエンタメとして昇華している。その反面、本作品は古い作品でありファンタジーを強めに出した事で粗が目立つようになってしまっている感が否めない。どの作品にも作者らしさ自体は滲み出ているので、前述の二作品が気に入っているなら評価を大きく外さないはず。特にこの作者の最高傑作は作者の持ち味が最大限生き、欠点が目立たなくなった「俺は星間国家の悪徳領主!」である。
なおWeb版セブンスは2015年完結と古い作品ではあるが、書籍化中の最新巻の10巻目は2020/10/30発売と日が新しい。
あらすじ
1
2ライエル・ウォルトは伯爵家であるウォルト家の嫡子であった。
3だが、完璧である妹のセレス・ウォルトとの勝負に負けて廃嫡。完膚なきまでに打ちのめされ、心を折られた状態で家を追い出されてしまう。
4そんなライエルが家を出る前に手に入れたのは【青い宝玉】だった。宝玉には歴代当主たちの【スキル】そして【本人たちの生前の記憶】が保管されていた。
5記憶として宝玉内で蘇ったウォルト家のご先祖様、その数はなんと七人! 頼りになるご先祖様たちの意見を聞き、ライエルの物語が始まる!
6……とは、ならず、七人もいれば価値観も違えば、当然意見も違う。ライエルに対しても罵声は当たり前。情けないと呆れる始末。
7ライエルはそんな七人の記憶が封じられた宝玉を手に、再び立ち上がる事が出来るのか?
8
9七人のご先祖様と共に戦う冒険ファンタジー、ここに開幕!
10
11※ヒーロー文庫様で書籍化しました。
12Web版と違う【セブンス】もよろしくお願いいたします!
13
14https://ncode.syosetu.com/n3250cl/
15
感想
雑記
大雑把には脳内会議で7人のご先祖様が冒頭から全員が登場するが、脳内会議の場だけに登場するため個々の特徴を把握して覚えるのに負担が掛かる。それで読むのを脱落した人も多そうなぐらい。 おおまかなストーリーとして、そのご先祖様達は主人公にスキルだけでなく知識なども伝承するが、スキルを完全に伝授すると一人、また一人と消えていく。消えていくご先祖様達を糧に主人公は成長して、巨悪を打倒するために努力し続ける、という展開。察しの良い人は1人目のご先祖が消えた時点でその後の展開に予想がつくだろうが、実際その通りに進んでいく。でもまぁ展開が読めるとはいえ、人が生の中で培ったものを次世代に繋いで消えていくって、王道故にアツイよね。それが約7回もあるわけで好きな人には響きそう。
とりあえず一人目が消え、主人公が「成長」を発露して一時的にハイテンションになるところまで読んでみて、その後も読むか決めればいいんじゃない感がある。このハイテンションになった際は、かなり癖のあるノリで笑わせようとしてくるので、好みがはっきり分かれそう。その上、ハイテンションになるシーンは多々発生するので、馴染めるか馴染めないかは作品を楽しむ上で重要で、私は馴染めなかった(ぁ。
作者は別作品でも見られるが、人を粗雑に扱うことで笑いを取ろうとする癖がある。ナウい言い方だと度を越したイジリのようなもので、ちょっと引いてしまう。
ハーレム
なろう作品では中盤などでもヒロインと結ばれたりするが、本作品はハーレムものではあるが最後になるまで誰とも結ばれない。ヒロイン同士で多少牽制し合うが、策略や謀略の応酬や派閥結成、派閥間、派閥内闘争などといったものは殆どないので、お気楽なハーレム感が強い。作中では15人ぐらいハーレム化したはず。
戦記
冒険者から始まり、物語が進むにつれて舞台の規模が大きくなる。その過程で軍を率いたりするようになるが、設定や展開に粗が多く、戦記としては期待しないほうが良い。